
- ジャンル:シンフォニックメタル
- 国籍:イタリア
- リリース:2006年6月9日
- 通算:1stアルバム
RHAPSODYを率いるルカ・トゥリッリの、ソロ3作とはまた別のプロジェクト第1弾ということで、ルカの作曲した過去の作品とは一味違う感覚の作品だ。また、演奏面でもルカはギターではなくキーボードを演奏している。
その音楽性は、デジタリックな要素も含んだサウンドに女性ヴォーカルというもので、疾走曲は1曲も無い。曲調も、シンフォニックで大仰なパワーメタルから血沸き肉踊るということは無く、終始ダークで妖しげな雰囲気を放ち、シンフォニックメタルというより、ゴシックメタルに近いものすら感じられる仕上がりとなっている。ややオペラ寄りの女性ヴォーカルもその感を強くさせているだろう。ただその中でも、ルカがアレンジしたんだな、と思わせられるアレンジワークは随所に感じられる。
仮にこれがルカ・トゥリッリのプロジェクトではないのだとしたら、もっと満足感を得られただろう。しかし、私がルカが創造する音楽に求めるのはこれではなかった。映画音楽風、民謡調、シンフォニック、そして劇メロとスピード! こういった要素が排除されたのが少し寂しい作品と感じられ、これを聴いていると、もっと熱い音楽を求めている自分に気付くのだ。
しかしその中でも素晴らしい曲はあり、特に#3「Dreamquest」は、彼のソロ2nd「Prophet Of The Last Ecripse」に収録されている曲のように感じられ、特にサビメロの美しさと、そのバックで鳴るオーケストレーションの壮大さにはルカの楽曲ならではの味わいで感動させられた。
かろうじて#13「Gothic Visons」では、かつてのルカの熱いメタルのイメージが残っているが、それでも悶涙!という感じでもなく、もはやこれはこれまでのRHAPSODYやルカソロのファンよりも、NIGHTWISH等のあまりハードではなく女性ヴォーカルが美しいバンドのファンにこそお薦めの作品となっていると言えよう。(雷X)