オレはメロディック・スピードメタルという音楽を愛すると同時に、また違った音楽を愛している。それは、音楽と言えるものではないかもしれないが、スポーツカーに積まれた内燃機関(エンジン)が発するエキゾーストノートだ。エキゾーストノートとは、エンジンの爆発音が排気管を通して外へ出る時の音であり、以前からオレは、特にフェラーリを中心とする、V型8気筒以上の自然吸気エンジンが発するエキゾーストノートを愛し、インターネット上で様々な車のエキゾーストノートを聴いてきた。
また、生でフェラーリ、ランボルギーニ、そしてF1のエキゾーストノートを体験したこともあり、それは鳥肌が立つ程の感動であった。また、時々、暴走族のバイクの音や、マフラーの壊れかけた軽トラでも素晴らしい音を奏でるものがあるのが面白い。 好きでもない人には単なる騒音公害であるが、好きな人はとことん好きなのが内燃機関のエキゾーストノートである。
今ここに、ある1台の日本製スポーツカーがデビューした。その名は、レクサス・LFA。販売価格3750万円という日本初のハイエンド・スーパースポーツカーは、これまでデビューした様々なスーパースポーツカーとはまた違う思想で開発された。それは、絶対性能よりも官能性能を重視したということ。サーキットのラップタイムを追い求めるのではなく、実際に運転して楽しいかどうか、そしてエンジンは気持ちいいかどうか、そしてギアチェンジのフィーリングはいいかどうか等である。
そのエンジンの気持ちよさについては、アクセルひと踏みで一気に回転が上昇するレスポンスの鋭さと、そして何よりもエキゾーストノートの音質が重要であろう。LFAは、このエキゾーストノートに並々ならぬ拘りを持って開発され、優れたエキゾーストノートを実現する排気システムは勿論、車内に響き渡るサウンドをよりよいものとする為に、エンジン開発に協力したヤマハ発動機の系列会社である、ヤマハ楽器が車内の音響空間をチューニングしたという。
その結果、下記で紹介した動画での、澄み切った素晴らしいエキゾーストノートが実現されたのである。開発者自らこのサウンドを「天使の咆哮」と呼ぶ程で、市販されたノーマル車でこれに匹敵するエキゾーストノートを持つ車は、ポルシェ・カレラGT、フェラーリF355'98以降、パガーニ・ゾンダ位のものであろうか。
レクサス・LFAについては、LFAよりも1000万円程度安価な価格でデビュー予定のフェラーリ458イタリアや、マクラーレンMP4-12Cに対する性能的アドバンテージが無いことや、シングルクラッチのロボタイズドMTであること、イタリア製スポーツカーのような美しいデザインではないこと等を理由に、低く評価する者も多数いるのが現実だ。しかしオレは、日本を代表するスポーツカーが、官能性能、すなわち究極のドライビングプレジャーと、我が愛するエキゾーストノートに拘って開発されたことを、非常に喜ばしく思っている。


