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『The Cosmocinesy』 - QANTICE

2009年04月10日

CDジャケット画像
  • ジャンル:メロディックパワーメタル
  • 国籍:フランス
  • リリース:2009年4月10日
  • 通算:1stアルバム

 

満足度:94

インターネット上で検索するとプログレッシブメタルと紹介されていることもあるが、中心人物であるTony Beaufilsが影響を受けたバンドがブックレットのpersonal thanks欄に並べられていたのでじっくり見ると、ジャーマンメタル、シンフォニックメタル、ネオクラシカルメタル、映画音楽、クラシック音楽のアーティストの名があることから、プログレッシブメタルからメロディックパワーメタルに流れてきたのではなく、これらのアーティストの影響を受けつつ、今まで聴いたことが無いような独自のメロディックパワーメタルを生み出したアーティストと言えよう。

Tony Beaufilsはギター・ベース・キーボードに加え、マンドリンとバンジョーも演奏するというマルチプレイヤー振りの上にプロデュースもこなす。パーマネントメンバーとしては、ヴォーカルとヴァイオリニストとドラマー(ライブ時のみ)がクレジットされており、他ゲストミュージシャン8名により制作されているあたり、同郷のFAIRYLANDにも通じる、1人ですべてを創造したい芸術家気質の人間なのだと想像できる。それはブックレットやロゴアートワークにも関わり(流石にジャケットカバーイラストは別人だった)、英語故にすぐに理解できないのが残念なほど、スケールの大きいコンセプトが掲げられている歌詞群(QANTICEオフィシャルサイトには何と小説化されているというニュースが!)を見ると尚更そう感じる。

肝心の音楽性は、プログレッシブと評されるのも頷ける変拍子やリズム、複雑極まるアレンジを聴くことができ、更にこれまでオレが聴いてきたシンフォニックメタルやメロディックスピードメタルでは聴けなかった展開や音の響きが所々登場するものの、基本となるメロディはキャッチ―であり分かりやすいとも言える。加えてメロディックパワーメタルらしい伸びやかな歌唱とパワフルなリズムがしっかり存在しているのも嬉しいところで、特にドラミングは激しくもテクニカルでもあり、展開に合わせた緩急自在のフレージングが心地いい。よって3曲収録されている疾走曲はライブでも大興奮間違いなしのナンバーとなるだろう。

印象的な曲について記しておくと、ゼルダの伝説のオープニング曲を彷彿とさせるパートや、どこか懐かしさを覚えるメロディが印象的で冒頭からグっと来る#1「Budding From The Mist」からそのままの流れでいくと思ったら唐突にヘヴィになる#2「Head Over Worlds」は、最初はメロディの煽情力が弱いかなと感じたが、聴きこむごとにこのパワフルさと複雑な展開の融合が心地よい。また#1のメロディが間奏部とエンディングに流れ、特に後者の展開は涙ものである。

そして#4「Megantrop」は、作品中最も印象的な疾走曲で、サビメロの高揚感はメロの最後にドラムフィルを多用し最高潮に達する! 間奏の展開の面白さも聴きどころだ。最後は更に声を張り上げてガッツポーズ! #8「The Question」も終始明るい雰囲気で疾走するところが典型的なメロスピと言えるものの、随所に細かいアレンジが施されるのがこのバンドらしい。歌メロパートは勿論、疾走と9/8拍子をバックにするツインリードにはじまり、スリリングなフレーズを奏でるソロに繋がる間奏の展開にも高揚感がもたらされる。上記3曲共にエンディングではしっかりイントロのテーマを引き継ぐというあたりに作曲面での拘りが感じられる。

#10「The Least Worst Ending」はエンディングを飾るインスト曲で、ゆったりとした壮大な笛〜フレンチホルンのメロディにバックが疾走していたり、その後は持てる作曲の要素をフルに叩き出すかの如く様々な展開を見せたりするのが面白い。また、他の曲も様々な楽器を用いて民謡調の雰囲気を醸し出していたり、プログレッシブに展開したり、キャッチーなメロディを配したりと、一聴しただけでは良さは分からないものの何度も聴くごとにその素晴らしさが伝わってくる曲ばかりで、末永く楽しめる作品と言えるだろう。

HEAVENLYが登場するまでは特に注目することのなかったフランス産メタルだが、近年オレの心を掴む音楽性を持つバンドが増えてきて嬉しい。HEAVENLYFAIRYLANDWILDPATHKERION、そしてこのQANTICEの新譜は今後必ずチェックするだろう。これらのバンドに共通するのは、音楽性の違いはあるものの、まるでフランス料理のような味わいへの気配りだ。特にアレンジにおける細かいヴォイシングや音色選定などにそれは表れており、これがおざなりになった音楽は何度も味わおうとは思わないだろう。

QANTICEは、音楽的には、爽快なメロディにどこかANGRAを彷彿とさせる、ブラジルのバンドのような雰囲気があるものの、そのアレンジの緻密さと細かな心配りはフランス産であることを納得させられる。何度もじっくり味わいたくなるこれらフランス産の美味なるメタルをオレは末永く愛していきたいと思う。(雷X)

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