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『CloudRiders Part1 - Road To SkyCity』 - KERION

2012年09月25日

CDジャケット画像
  • ジャンル:シンフォニックパワーメタル
  • 国籍:フランス
  • リリース:2012年9月25日
  • 通算:3rdアルバム

 

満足度:96

アルバムタイトルにPart1と入っているあたり、RHAPSODY等のように、ストーリー性の高いエピック・シンフォニックメタルを、アルバム数枚単位で完結することを目指したであろう作品だ。歌詞を見てもいかにもファンタジーだと言わんばかりの言葉が並び、サウンドも想像通りの大仰なもので、シンフォニック・パワーメタルのファンならば楽しむことはできると思うが、一聴しただけではオリジナリティが欠如していると感じるリスナーも多そうな仕上がりだ。またメロスパーには疾走感が足りないと感じる人も多いだろう。しかしオレはこの作品からそういったネガティブな感想は沸いてこない。

その理由は大きく2つで、まずこの作品からオレは、コーラス(クワイアのパートよりも女性ヴォーカルのパートが気に入った)やオーケストレーションやギターをはじめとした、ヴォイシング、リズム、音色に対する感覚が、オレの理想とするものにどこまでも近い、と感じたことがある。これについて特に顕著なパートは後程の#1〜2、#14の感想において記した。勿論こういったことを感じるのもプロダクションが良質ということがあるからだ。バンドサウンドのパワー感とオーケストレーションが高いレベルで共存しているのが気持ちいい。

もうひとつは、作曲的特徴として、Aメロ、Bメロ、サビメロという展開に捕らわれず自由に作曲している印象を受け、それが個性につながっていると感じたからだ。特に目立つのはAメロからすぐにサビメロという展開の曲で、#6「Fireblest」に至っては、コーラスを含むサビメロとAメロ、そして展開部、ソロのみという構成だが、コーラスがRHAPSODYのアルバム「Dawn Of Victory」イントロを思い出させ笑わせてくれるものの、そのキャッチーなフレーズにより素晴らしい仕上がりとなっている。また、#8「Never More」は他の曲とは対照的に歌メロのパート数が多かったり、通常Bメロにあたるであろう部分に歌が入っていなかったり、めくるめく展開が気持ちい曲であった。

オレは#1〜2の流れが作品中最も気に入り、何度も聴き返した。まずは#1「Rider's Theme」はよくあるイントロという感じだが、バンドサウンドと絡むことで壮大さがより強く表現された素晴らしいイントロと感じた。例えば1分半過ぎはギターがパワフルに入るだけだが、その後のドラミング等も含んだパワー感により盛り上がり方は半端ではなく、大仰なメロディと相まって早速熱くさせてくれる。

続く#2「The Map」は重厚なミドルテンポ曲で、サビメロはメロディとしてはよくあるタイプのものだが、クワイア・コーラスの重厚感と女性ヴォーカルの入り方によってスペクタクルなパートとなっている。2度目のAメロで、ヴォーカル・ベース・笛の対旋律での絡みと後半高い方でハモりを入れる女性ヴォーカルといったところも聴きどころだ。ソロ後、アコースティックギターと後に絡んでくるストリングスが哀愁美を演出し、エンディングへと向かう展開美も完璧だ。個人的にこれ程つぼに入る曲も珍しく、壮大さと哀愁美を1曲の中に高いレベルで共存させることに成功した名曲と言えよう。

その後もストーリーに沿ったと思われる雰囲気を重視した良質のシンフォニックメタルを聴かせてくれる。特に印象深かったのが#7「Tribal Vibes」と#10「「Ghost Society」で、巧みな編曲により、見事にストーリーに相応しい雰囲気を描き出すことに成功しており、その作曲力には高いポテンシャルを感じさせられた。前者は一風変わったトライバルなパートも面白いが、バンドアレンジに注意すると、そのリズムとパワー感に、ピュアなメタルとして素晴らしいことが分かる。また後者は、妖しさを醸し出すアレンジと、まさに曲名に相応しい雰囲気のコーラスが美しい。こういったところからも次作以降もマンネリに陥らず、素晴らしい作品を生み出してくれることが期待できそうだ。

そしてアルバムのエンディングを飾る#11〜#13の流れは圧巻で、上記したこのバンドが持つ表現力が余すところなく発揮されている大作#12「The Fall Of SkyCity Part2」には、#2に匹敵する程感動させられた。あまりに勇壮で壮大、歌メロの煽情力も高い上に、バックのギターの細かいアレンジ、チャーチオルガン、ブラス、ストリングスの緻密なアンサンブルに加え、#10のコーラスのメロディをさりげなく含ませたクラシカルなソロもある怒涛の展開美・・・全てが完璧な名曲だ!

最後にオレがインターネット上の試聴で聴きまくった曲が、たどたどしい日本語で歌われる日本盤ボーナストラック#14「A New Day」だ。典型的なメロスピ・チューンとなっており、やはりこの曲にもBメロが無い。あまりにもクサいメロディラインに恥ずかしくなってきそうな曲で、幅の大きいメロディが印象的なAメロに続くサビメロのコーラスワークが絶品であり、特にエンディング直前でそれは頂点に達する。この曲を試聴で気に入るか、歌詞対訳が気になる人は日本盤を買うべきであろう。

疾走感は無いがそれを補って余りある、オレの琴線に触れる音楽性。同郷のFAIRYLANDにも相通じる、シンフォニック・メタルに対する真摯な姿勢をこのバンドからは強く感じることができる。QANTICEのレビューでも同じようなことを書いたが、丁寧な料理で音楽を本当においしく味わわせてくれるといった印象をこの作品からは受けた。こういう作品に出会う度、オレはシンフォニック・パワーメタルという音楽に出会い、そして愛してきて最高に幸せだと思う!(雷X)